エクセルの条件分岐といえばIF関数ですが、「条件が多くてネストがぐちゃぐちゃ…」そんな経験ありませんか?そんなときに活躍するのが、IFS関数です。
IFS関数は、複数の条件をシンプルに書ける便利な関数で、IF関数の「ネスト地獄」から脱出できます。
この記事では、IFS関数の基本から、具体的な使い方、よくあるミスやエラー対処法まで、初心者にもわかりやすくステップ形式で解説します。
IFS関数(マッスルたけちゃん)







IFS関数とは?(初心者向け解説)
IFS関数は、複数の条件に応じて異なる結果を返す関数です。従来のIF関数ではネスト(入れ子)を使って条件を重ねる必要がありましたが、IFS関数を使えば「条件→結果」をペアで簡潔に記述できます。
例えば、点数によって評価を変えるといった「段階的な条件分岐」でよく使われます。
IFS関数の特徴
- 複数の条件を簡潔に書ける
- IF関数のネストよりも読みやすい
- 条件が「TRUE」になった時点で評価を終了
- 条件と結果はセットで記述(ペアで記述)
- Excel 2016以降で使用可能
IFS関数の構文(入力方法と引数)
IFS関数の基本構文は以下の通りです。
【引数の説明】
引数名 | 説明 |
論理式1(必須) | 最初に評価する条件(例:A2>=90) |
結果1(必須) | 論理式1がTRUEの場合に返す値 |
論理式2(任意) | 論理式1がFALSEのときに評価される次の条件 |
結果2(任意) | 論理式2がTRUEのときに返す値 |
※最大127組まで設定可能
IFS関数の使い方(具体例付き)
例:点数に応じて「優」「良」「可」「不可」を判定する
- B2が90以上なら「優」
- B2が70以上なら「良」
- B2が60以上なら「可」
- それ以外(B2<60)なら「不可」
A列:名前 | B列:点数 | C列:判定(IFS関数) |
田中 | 92 | 優 |
鈴木 | 76 | 良 |
佐藤 | 61 | 可 |
高橋 | 45 | 不可 |
IFS関数は、最初にTRUEになった条件だけを評価して返すので、無駄な処理がなく効率的です。
よくある間違いと注意点
IFS関数は便利ですが、以下のことには注意が必要です。
- すべての可能性に対応しないとエラー:
すべてのケースに条件を用意しないと#N/Aエラーになります。 - 順序が重要:
最初に当てはまった条件で判定する。 - 旧Excelで未対応:
Excel 2016以前のバージョンでは使えません。
特に順序を間違えてしまうと、結果が変わってしまうので注意が必要です。「IFS関数の使い方(具体例付き)」で説明した例で以下のように順番を変えてみます。
解説:
「点数が90以上なら“優”」という条件を最後に書いてしまうと、IFS関数は先に出てきた「B2が70以上」の条件で判断してしまい、結果は“良”になります。IFS関数は、最初に当てはまった条件だけを使って判定する仕組みだからです。
A列:名前 | B列:点数 | C列:判定(IFS関数) |
田中 | 92 | 良 |
IFS関数の応用テクニック|仕事で役立つ活用法
IFS関数は複数条件をスッキリまとめて判定できる便利な関数ですが、実務ではさらに一歩進んだ応用が求められることも。ここでは、IFS関数を使った実務で役立つテクニックを2つご紹介します。
応用テクニック①:評価ランクを自動付与する判定表
具体例とメリット
売上や点数に応じて「A〜D」などの評価ランクを自動で付ける場面で活躍します。IF関数のネストが不要なので、シンプルな構造で誰でも読みやすい式になります。
ポイント:
- TRUE,”D”を入れておくと、いずれの条件も満たさないときのデフォルト対応ができる
- 評価基準を変えるときも式の中を修正するだけでOK
A列:名前 | B列:売上(万円) | 評価(IFS関数) |
高橋 | 120 | =IFS(B2>=100,”A”,B2>=70,”B”,B2>=50,”C”,TRUE,”D”) →A |
山田 | 85 | =IFS(B2>=100,”A”,B2>=70,”B”,B2>=50,”C”,TRUE,”D”) →B |
小林 | 40 | =IBS(B2>=100,”A”,B2>=70,”B”,B2>=50,”C”,TRUE,”D”) →D |
応用テクニック②:IFS関数+TEXT関数で見やすいメッセージ表示
具体例とメリット
IFS関数の判定結果を、TEXT関数などと組み合わせて文章形式で表示することで、報告書やチェックリストの自動生成にも応用できます。
ポイント:
- 文章で表示することで、見た人にやさしい表現になる
- 条件に応じたメッセージ分岐に適している
=IFS(B2>=80,”合格です!おめでとうございます”,B2>=50,”あと少し!頑張りましょう”,TRUE,”再試験です…”)
名前 | 点数 | 判定メッセージ |
高橋 | 92 | 合格です!おめでとうございます |
山田 | 65 | あと少し!頑張りましょう |
小林 | 45 | 再試験です… |
IFS関数 よくある質問(FAQ)
よくある質問(FAQ)をまとめました。
- Q1: IFS関数とIF関数はどう違うの?
- A1: IFS関数は複数条件を1つの数式でスッキリ書けるのが特徴です。IF関数のようにネストする必要がないので、初心者にも読みやすくなっています。
- Q2: TRUE を最後に書くのはなぜですか?
- A2: TRUEを最後に使うことで、どの条件にも当てはまらない場合の「その他」扱いの結果を返せます。IF関数で言うところの「ELSE」に近い役割です。
- Q3: IFS関数でエラーになるのはどんなとき?
- A3: 条件が正しくペアになっていない場合や、すべての条件に当てはまらないときにTRUEがないとエラー(#N/A)になります。
- Q4: IFS関数は古いExcelでも使えますか?
- A4: IFS関数はExcel 2016以降で対応しています。2013以前では使えないので、IF関数のネストで代用しましょう。
IFS関数のまとめ
IFS関数は、複数条件を簡潔に管理できる関数で、IF関数のネストを使わずに「スッキリ読みやすい数式」を書きたいときに最適です。実務での評価表やメッセージ出力など、幅広く活用できます。
【ポイント整理】
- IFS関数は複数条件をスムーズに処理できる
- 最後にTRUEを入れるとエラー回避にも便利
- IF関数との違いを知ると、使い分けがしやすい
- Excel 2016以降で使用可能なのでバージョンに注意
- 実務では評価・メッセージ判定などの自動化に役立つ

これでIFS関数もバッチリだ!レッツ筋トレ!
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